たからもの。
「大丈夫だった?
神崎君。
…あ、血がでてる。手当てしなきゃ」
女はまた無理矢理俺を引っ張って、保健室へと連れていった。
―――――――――――
「今、保健のセンセイ、いないっぽいね。
私が手当てするよ。
ちょっと待ってて」
女は消毒液を探しはじめた。
俺はその背中に声をかける。
「お前、なんで俺にかまうんだ?」
「特に理由はないよ?
てゆーか、委員長だし当然でしょ」
女は平然と話す。
「嘘つかなくていいから。お前が演技してんの、バレバレ」
女の動きがピタッと止まり、振り返る。
「バレてたんだ…」