たからもの。
女はドカッとベッドにすわる。
「じゃ、あんたの前では素、だしていいんだ。
ラッキー。
いい子ぶんのも疲れてきてたしね」
「あんた、なんでそこまでして内申上げたいわけ?」
「あんたって呼ぶの、やめてくれない?
せめて香宮って呼びなさいよ」
香宮は立ち上がると、消毒液とわた、ピンセットを持ってきた。
消毒をしながら香宮が話し出す。
「で、さっきの答えだけど、ただ単に、それが親の希望だからよ」
俺は、しゃがんだ香宮の少し茶色っぽい髪を見ながら言った。
「…お前の人生が、親のモノになってるってことか」
「………は?」
俺は立ち上がり、何か言いたげな香宮をおいて、その場を後にした。