たからもの。
突然の神崎の言葉に、惚けた返事を返す。
「フツー、怖がって近寄ってこねぇだろ。俺みたいなのに。
内申上げるためでも、お前は俺にちょっかい出し過ぎだし」
私は口の中のパンを飲み込んでから、少し考えて言った。
「んーー…。
まぁね。変かもね。
でも、神崎の気持ち、わかるから」
その時、ちょうど予鈴がなった。
「ヤッバ!もう行かないと。
神崎も、次の授業ちゃんとでなさいよねー!!」
私は、パンの袋とお弁当を抱えて走った。
――――……
誰も知らない、神崎の笑顔。
私だけが知ってる笑顔。
そのことが凄く、嬉しかった。