たからもの。
「えっと、教室は2‐A。階段のぼったらスグわかると思うよ」
私は愛想良く振る舞った。
するとその男はウザそうな顔をして、私に背を向けて言った。
「一人で行くから、かまうな」
男は歩きだした。
そこには私一人しかいなくて、しーんとしてる。
「ふん、ホンットめんどくさい。
あの男、勝手に何でもやってくれそうだから楽~。
ったく、センコーもセンコーよね。面倒な事は全部私に押し付けやがって。あのクソジジィ。マジうざいんだけど」
これが私のホントの姿。
周りには真面目で愛想がいい子、とか思われてるけど、んなわけないし。
今ドキどこにこんな生真面目なヤツがいるんだよ。
でもま、センコーのお気に入りになれば内申よくなるし。
面倒だけどしかたない。
てゅぅかこの演技、いつまで続けないといけないわけ?
本当、疲れる…。