たからもの。
気がつけば、ホームルームは終わっていた。
私は担任に呼ばれて、席を離れる。
「なんですか?」
「いやぁ、あの転校生、クラスに馴染もうとしないからねぇ。
移動教室のときとか、ついていてあげてくれないかなぁ」
「なんで私がそこまでしなきゃいけないんですか。先生が責任もってついていてあげればいいじゃないですか」
思わず本心を口にする。
「神崎君はちょっと苦手でね…。内申上げるから。ねっ?」
こいつ…私がその言葉に弱いの知ってて言いやがったな。
私はため息をつきながら言った。
「はぁ…。わかりました」
そして1時間目、音楽。
早速やってきた移動教室。
私はどこか一点を睨みつけたままの神崎の席へいき、話し掛けた。