【短編】ギター少女とヘビースモーカー
トイレに行こうと廊下に出ると、窓の下にあの人の後ろ姿を見つけた
一人で歩いて、校門の方に向かってる
「…まさか…!」
そして、走り出した
階段は長くて、息が切れる
暑くて、暑くて、足がもつれて、転びそうになる
先生に、聞きたいことがある
確かめたいこと
走って、ローファーのかかとも踏んだままで、ひたすら走った
「せんせ……!!」
息も絶え絶えに走ってくる私を見て、先生は目をむいた
「? どした?」
「はぁ……はぁ…」
息が切れて、声が出ない
「はぁ……先生…タバコ、吸いたくて…休憩したんですか?」
「あー…まあ つか、ホントにどしたの?」
先生は驚きのあまりに、タバコをくわえるのを忘れてる
首もとに手を当てて、息を整える
「もしかして、先生、授業の後すぐに教室出るのも、タバコ吸いたいからですか?」
「え…俺そんなに早く教室出ていく?」
驚いた顔のまま、先生はタバコをくわえて火をつけた
「はい」と私が答えると、先生は今初めて気づいたみたいに、笑った
笑ったら、煙が口からこぼれていって、それがなんか…色っぽかった
「確かに、授業中耐えられないときあるな…
チャイムと同時にダッシュすることもあるかも」
「じゃあ、ギターの練習のとき、合間にどっか行ったりとかすぐ帰ったりとかは」
「あーそれは、完全にタバコだ」
あー
そっか…そうなんだ……
先生は、こりゃーもう中毒だなって、また笑った