ニノウデ
雨宮賢二
僕が『雨宮』の名前をもらって
14年の月日が経った。
お母さんもお父さんも
そして姉ちゃんも
僕が家にきたときの記憶なんてないと思っている。
姉ちゃんが10才のお盆。
おばぁちゃんの家で姉ちゃんは僕らが兄弟じゃないことを知ってしまった
あの日から姉ちゃんと僕の間には破れない壁が一枚
転校をお父さんの仕事の都合で繰り返したが、僕はすぐに友達ができたし、先生にも可愛がられた。
でももし転校して友達ができなくても、姉ちゃんさえいてくれるなら友達なんていらない
普通の姉弟だったら危ないシスコンと思われるかもしれない
でも
僕の場合はただの『恋』だ
