ニノウデ


生まれて初めて泥棒のように家の鍵を開ける私




焦って鍵が穴に入らない。……と思ったら差し込んでいたのは学校のロッカーの鍵だった




私なにやってるんだろ
自分が情けない




とりあえず自分に泥棒の才能がないことがわかった!よかったよかった。




ドアの前で小さくガッツポーズしていると扉がゆっくり開いた。





あれ?何故?……先客?
ど、泥棒さん!?




ゴホッ…ゴホッ




「姉ちゃん何してるの?」



「け、けん、賢二こそなにしてるの?」




「風邪ひいたから学校休み。姉ちゃんさぼったの?」




「き、きょ、今日は創立記念日で学校休みだったの」



我ながらなんてセンスのない嘘なんだろう。




賢二は半分笑っていたけど、納得したフリをした。




こんな昼間から姉弟ふたりで『笑っていいとも』みてお母さんごめんなさい




賢二は受話器を持っておもむろに部屋を出た。



数分後



ガチャ



「姉ちゃん学校には風邪で休むって連絡しておいたから」





そう言うと賢二はニコッと笑った。




我が弟ながら……恐ろしい
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