ニノウデ

よっちゃんは話しかけたそうにこっちを覗き込んだ。


僕はため息一つついて、無視して逆方向に歩き出した。


よっちゃんは泣き虫だからまた泣かれることが分かっていたから。



「…っイタ!」



びっくりして振り向くとよっちゃんが転んでいた。



僕はまたため息を一つ。


ゆっくりよっちゃんに近付いて、手を差し伸べた。



よっちゃんはキョトンととして僕を見上げた。



「先生大丈夫?血が出てるよ」



よっちゃんは僕の手を握りながら、やはり泣き出した。
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