ニノウデ

「雨宮くんごめんね…私がこんなだからみんなに迷惑かけるんだよね……」


よっちゃんが泣きながらそんなこと言うもんだから、ほっとけなくなった。


僕はゆっくり手を引いてズボンのホコリを払った。



「大丈夫、大丈夫、よっちゃんは十分がんばってるよ。みんなはどうか知らないけど僕は感謝してるよ」



そう言うとよっちゃんは泣きながらニコッと笑った。



泣き止まないよっちゃんの手を引きながら保健室へ歩く。



まだ授業中で静かな廊下に二人の足音だけが響いた。



恋人同士じゃあるまいし

またため息が一つ
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