ニノウデ

服を着直すよっちゃんはすごく大人に見えた。


「よっちゃん…ごめん、おれ最低だね」


振り向いたよっちゃんは怒ってなかった。



「私……実は初めてだったからすごい緊張した」


――え?よっちゃんも?


僕は全身の力が抜けて笑いが止まらなかった。よっちゃんもつられて笑い出した。



キンコンカーンコーン


チャイムが校舎に鳴り響いた。



「雨宮くんありがとう。あなたが初めてで私よかった」



僕もよっちゃんでよかったよ




僕は扉の前でよっちゃんの頭をポンポンと撫でて、教室に向かった
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