ニノウデ
あれからあいつのことが頭から離れない。


気が付くとあの男はいなくて、ただ太陽だけが眩しかった。


あの声は……どこかで…


「……みや、雨宮!!お前教師なめんのもいい加減にしろよ」



iPodで音楽を聞いてるといつの間にか授業が始まっていた。


「すいませんでした」



機械的に謝ったのが、余計に先生を苛立たせた。


そんなこんなで今日もただなんとなく授業が終わった。


教室を出ると、教務室に人だかりが出来ていた


輪の中心にはどうやら教育実習がいるとかいないとか



まさか、あいつか…?
僕はピンっときたが、振り向いたら面倒になる予感がした


あと三歩、あと三歩で曲がり角だ。


1…2…3…


やった、逃げ切った…



急いで下駄箱に靴を投げ込み、校門をチャリで駆け抜けた



「甘いよ、雨宮賢二…」



えっ…誰?


振り向くと猫が一匹


はっ?


猫はもう何も言わずに通り過ぎていった
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