【短編】空より広く、海より深く


「結婚が決まったら聞きたい?」

布団から顔を出して
みのりは悪戯っぽく
聞いた。

それを聞いて自分は
どう思うか
門倉には
想像がつかなかった。

答えずにいると、

「興味ないの?」

と、ベッドの端で
煙草を吸う門倉の方に
みのりは身を
寄せてきた。

「何て言ってほしい?」

「…わたしが聞いてるのに。
それよりこの後どうする?」

みのりは立ち上がって
服を着始めた。

不機嫌そうかと思ったが
振り向いた顔は
何ともないような様子だ。

「腹減ったな」

「最近できたカフェがいい。
駅前の」

「じゃ、いくか」

門倉も身支度を始めた。

「そこでいいの?」

「いきたいんだろ?」

最後に車のキーを手にして
ホテルの部屋を後にした。



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