【短編】空より広く、海より深く
仏間をのぞくと
父と門倉が話をしていた。

その横で樹は
おもちゃでひとり遊んでいる。

「樹、これに着替えて」

みのりの声に
父も門倉も同時に顔を上げた。


「お父さん
ちょっと出かけてくるね」

「樹は父さんがみててもいいんだぞ」

気をきかせたのか
そんなことを父が言ってくる。

「僕は平気ですよ」

みのりが黙っていると
門倉が替わりに答えた。

樹を着せ替え終わるのを
見計らって門倉は立ち上がる。


「じゃぁ、これで」

門倉が頭を下げると
父も立ち上がり頭を下げた。

みのりも樹を抱えて
立ち上がる。


「いってくるね」





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