【短編】空より広く、海より深く
どうしよう。
突然の質問に体が固まる。


「葬式なのに
帰ってこなかったのか?
あ、仕事でもう帰ったのか?」

「……見たかった?」

苦し紛れに疑問形で返した。

そうだ。
門倉も困ったら
疑問形で返してくる。

そうやって
いつもはぐらかされる。

欲しい言葉は
決してくれないのだ。


でもその曖昧さに
ずっと甘えてきた。

このままずっと
そばにいれればいいと
叶うはずないと思いながらも
祈らずにはいられなかった。


だけど
譲れない大切なものができた。



「…気になるだろ
どんなやつと結婚したか」



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