【短編】空より広く、海より深く
「危ないよー」

後ろから友人が声をかける。

でもそこに
帽子は見えているのに。

諦めきれずにもう一歩。

草の間に足が沈む。
地面はどこ。

光があたらないのか
じめっとした感触に
涙が出そうだった。


「樹ー」

誰かの声と同時に
がさがさと
草を踏みしめる音がした。
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