無気力キューピット

エデン


「この子が新人!?なかなか可愛い
じゃん!よかったな、可愛い子で」
「うるさい、黙れ。ついてくんな」
「もーう、リョウはいっつも冷たい
んだからー」
リョウさんとはまた違う、少し高めの
軽やかな声で目が覚めた。
「ん・・・」
「あっ起きたみたいだよ」
「・・・うわっ」
リョウさんは私を乱暴に下ろした。
尻餅をついたが、痛みは感じない。
「起きたか新人」
「リョウさん・・・」
「もーリョウは乱暴だなぁ。女の子は
大切にしなきゃダメだよ」
さっきの声の持ち主はこの人のよう
だった。外見的にも、性格的にも
リョウさんとは真逆のタイプ
のようだ。彼は手を差し伸べてくれた。
「あ・・・ありがとうございます。
えーっと・・・」
「ユウキだよ!よろしくね!」
ユウキさんはニコッと、さわやかな
笑顔を返してくれた。
「日和です。よろしくお願いします」
「いつまでそうしてんだ。はやく本部
行かないと、取り消されるぞ」
本部?なにが取り消されるの?
「ああ!そうだね、急がなくちゃ!
戻れなくなっちゃうしね!急げ、
日和ちゃん!」
「えっなにが・・・」
「説明は後だ。新人」
意味もわからぬまま、私は引きずられる
ようにその場を後にした。
ひとつだけ分かったのは、ここは
普通の場所ではないということ。

私はどうなってしまうのだろう・・・。


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