おばかに恋する性悪王子
「待ってよ、沖谷准夜!!」
叫んだあたしの声を聞き、やっと立ち止まった沖谷准夜。
歩くの早すぎるだろ。
あたしは早歩きだったよ……疲れた。
「………なんでちび、俺のことフルネームで呼ぶんだ??」
「なんでって言われても…」
そーいや、なんでだろ。
確かに考えれば、普通に沖谷でいいよな…。
やっぱ苦手だからか??
「……てか、ちびってなんだよ!?」
身長低くて何が悪い!!
文句あるかコノヤロー!!
「だっておまえ、身長だけでみたら、中学せ…あ、小学生じゃん」
「だまれよ、沖谷准夜!!撤回しろ、撤回!!」
「んー、じゃあ……留茅??」
きょとんとした目で首を傾けて聞いてくる沖谷准夜。
かわいすぎるんだけど…。
てか、男子に呼び捨てされたことないから、すごい緊張する…。
「決めた!!留茅な!!
俺んことはフツーに准夜でいいから。」
ニカッと笑う沖谷准夜。
こんな風に笑われたら、認める他ないじゃんかばか!!
「じゃあ、准で…。」
「えー、准夜でいいって!」
「は、恥ずかしいから、准でっ!!」
准なら、女の子にもそーゆー名前いるし、意識しなくていいからね!!
自分でも分かるほど顔を赤くしたあたしは、その顔を見られないように准から荷物を奪い取ると、走って沙菜の部屋へ向かっていった。
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