おばかに恋する性悪王子
それから、俺を部屋に入れて、暖かいお茶をいれてくれたちび女。
意外にいいやつだな、こいつ。
それから、沈黙が続いた。
俺は普段沈黙っつーのが苦手だけど、なんかこいつの沈黙っつーのは面白いな。
何も喋ってねーのに百面相してやがる。
途中、会話を続けようと一生懸命言葉選んで話し掛けて来るちび女の言葉をすぐに切って、更に百面相させた。
なんか、いじめたくなるんだよな。
ちび女をいじめて遊んでた時、トントンッと、俺の部屋からノック音が聞こえて。
あぁ、先生来たんだ。と考えたと同時に、ちび女をいじれなくなると思い、なんだか寂しく感じた。
それからは、じいさんとちび女の会話ばっか。
ちび女はなんか頑張ってる。
それが俺のため…って思うと、まんざらでもねーのは、気のせいではないと思う。
最終的に、じいさんに怒られた。
確かに、俺が悪かったもんな…。
密かに落ち込んでいたら、視線を感じ、見ると、ちび女と目があった。
見んなよ…恥ずかしーだろ。
そういう思いからか、睨みつけてしまった。
でも、ちび女はその気持ちを分かっていたのか…?
目が合うと、ふわっと笑った。
それは、俺がちび女と出会って初めてみた笑顔で。
この笑顔で恋に落ちるのなんて、たやすいことなんだ。
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