咲いても、枯れても1~サクラ色~



『そう、だよな』




ああ。急に儚くなる。



その横顔が、消え入りそうに。



遠くへ、行ってしまいそう。





とてつもなく怖くなって、声をかける。




『拓?どうした─…』


『さくらは、モテるんだ?』




『へ?』





何を、いきなり。




『さくらは素直だから、やっぱり色んな人に好かれるんだろ?モテるんだろ?』





足を止めて、こちらを見る眼差しは、真剣だった。






けれど、揺れていた。




纏うオーラは水色だった。





『も、モテないわよ。私は。学校じゃ、喧嘩ばっかりだし』



『け、喧嘩?さくらが?』




一瞬、安堵したみたいだったけれど、すぐに驚いたように、口を開いた。




喧嘩。



つい、言ってしまった。



私は、素直で、大人しくて、清楚なんかじゃないのよ。




そう言いたくて。



本当の自分を知って欲しくて。



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