咲いても、枯れても1~サクラ色~




『本当に?』



『本当よ』




拓はまだ、腑に落ちない様子。


口を尖らせて、だって、と反論してきた。





『さくら、さっきそいつのこと、考えてただろ?』




さっき、確かに。



海斗のこと考えると、なんだか腹が立ってきた。






『うん。ものすごくイライラしてきちゃったけどね』




本当の想いを、柔らかい言葉で表す。



腹が立ったのよ…!!!!!


なんて言ったら、彼の傍に居られなくなるわ。





『でも、』


『でも?』





『その時のさくらの顔、楽しそうだった』







どういうこと?





私は、楽しくなんかないわ。



本当に、イライラしたもの。





本当に、本当に─────





『そんな訳ないわよ。私、そいつと犬猿の仲よ?』




まるで分かり合えない。



犬猿の仲。






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