咲いても、枯れても1~サクラ色~
第四章 相愛
花の部屋
『さくら、ここが玄関』
拓の後を付いていくと、目の前に大きな扉が現れた。
大きな、木の。
現れたと思ったら、左右に音を立てて開いた。
さっきから驚きっぱなし。
開いた口が閉じないわ。
私の知る世界とは、かけ離れた拓の家。
『拓様、お帰りなさいませ』
6人のメイドさんみたいな人が同時に頭を下げる。
なんか私、場違いな気がする。
そんな不安を、拓の手が簡単に拭ってくれる。
私の手を、握るだけで。
『拓様、こちらの方は…』
中央に居たメイドさんが、物珍しそうに私を見る。
また、そういう目で。
『こちらは、成宮白純美さん。俺の大事な来客だ。俺と同じように扱ってあげてくれ』
『はい。かしこまりました』
もう一度、メイドさんたちは頭を下げる。
凄い人、なのね。
──────大富豪の長男。