咲いても、枯れても1~サクラ色~




『さくら、ここが俺の部屋』



『ここが?』





思わず聞き返す。



だって、ここは一階。





長い廊下を歩いて、一番端の部屋。



しかも、部屋には庭に出れる、大きなガラスの扉がある。






普通は“大富豪の長男”は、二階とか、三階とか…安全な場所にあるべきじゃないの?





庭と通じる扉なんて、不法侵入されたら大変じゃない…!!!!





と思うのは、私のドラマの見すぎかしら…?




でも、なんで?


なんでこの部屋なの?






『なんだ?何か気になるか?』




私の悩む顔を見て、尋ねる。




『ええ。あなたの部屋、なんで一階にあるの?と思って』



そう答えると、柔らかく笑った。





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