咲いても、枯れても1~サクラ色~
『可愛い、白純美』
私を見て、拓は微笑む。
本当に、可愛い、と。
そうして夕日に染まる私の頬を優しく撫でる。
『綺麗だよ、白純美。どんな花よりも、どんな桜よりも』
髪に、頬に触れるだけの手が、切ない。
もっと触れられたいと願う気持ちが、たまらなく切ない。
気付けば、自分から拓を抱き寄せている。
もう少しで、全身が触れてしまう距離まで。
『やっと近くまで来れた』
そう言って、ケラケラと笑う。
簡単に触れてはいけないお方だった貴方が、
今はもうこんなにも近くに。
身分など、愛しい気持ちには関係のないことだった。
格差など、考えたくはない。
その隔たりは、今は必要ない。
こんなにも近くに居るのだから。