咲いても、枯れても1~サクラ色~




「ガチャ」



突然、扉の開く音がして、身震いする。




拓じゃない、気がしたから。







『誰?』




暗闇で、顔が見えない。


けれど、黒く浮かび上がる姿。その背丈は、拓…?






『白純美様』




その声に、はっとする。





『あ、頼稜さん?』



『はい。頼稜でございます。お目覚めでしたか』





そう言って、電気を付けてくれる。


その瞬間、金を見たように眩しくなって思わず目を閉じる。






『大丈夫ですか?』




やっと慣れてきて、目を再び開けると、すぐ傍に頼稜さんが立って居た。



びっくりするほど、行動が早いわ…。




< 133 / 279 >

この作品をシェア

pagetop