咲いても、枯れても1~サクラ色~
「ガチャ」
突然、扉の開く音がして、身震いする。
拓じゃない、気がしたから。
『誰?』
暗闇で、顔が見えない。
けれど、黒く浮かび上がる姿。その背丈は、拓…?
『白純美様』
その声に、はっとする。
『あ、頼稜さん?』
『はい。頼稜でございます。お目覚めでしたか』
そう言って、電気を付けてくれる。
その瞬間、金を見たように眩しくなって思わず目を閉じる。
『大丈夫ですか?』
やっと慣れてきて、目を再び開けると、すぐ傍に頼稜さんが立って居た。
びっくりするほど、行動が早いわ…。