咲いても、枯れても1~サクラ色~
『ありがとうございます、頼稜さん』
なぜか、口からこぼれる。
「ありがとう」と、私から言いたくて。
頼稜さんは、少し恥ずかしそうにして、俯いた。
『御礼など、言われる身ではございませぬゆえ』
きっと、拓には見せない姿ね。
彼の前では、いつでもしっかりしているから。
一番信頼のおける、付き人として。
『拓は?御両親とまだお話中かしら』
『はい。恐らく』
早く会いたいわ。
さっきまで一緒に居たけれど、もう恋しい。
触れられる距離に居ないと、寂しい。