咲いても、枯れても1~サクラ色~
『白純美様、お気を確かに』
また、ぼっとしていたかしら?
頼稜さんが、私の顔を覗く。
大丈夫ですよ、と呟いて。
『白純美様、変な先入観を御持ちになられないように』
『え?』
頼稜さんは、柔らかく微笑んだ。
その笑顔は、いつもものすごく安心する。
胸を巣食うものが、消えて行く気がするほどに。
『どういうこと?』
先入観?
私、勘違いをしている?
『拓様の御両親は、厳格な方々ではございません。むしろ、お優しく、悠長です』
厳格ではない?
大富豪だというのに、悠長?
疑問に思いながらも、それを聞いて安心する。
もしかしたら、と思って。