咲いても、枯れても1~サクラ色~
『父上様は、学問に関しましては、人一倍お厳しい方ですが、それは息子様方への期待ゆえ。それ以外のことについては、あまり口出しをいたしません』
当たり前よね。
あんなに頭の良い方に育てあげたのは、息子への期待ゆえ。
その道を外さないように、厳しく見張るのは当たり前。
それ以外のこと。
友人関係や、恋愛ごと?
それに、外出も自由みたいね。
頼稜さんはものすごく心配するけれど。
期待が、芽生え始めた。
『ああ、こんな時間だ。すみませんが、私は会議がありますので、失礼します』
時計を見て、焦ったように部屋を出ていく。
もう、11時。
拓、遅いわ。
『あ、拓様はお話を終えられたようですよ』
もう一度部屋に顔を出す。
終わったの?
そう聞いて、嬉しくなる。
『では、また』
『あ、また明日』
頼稜さんは一礼して、また廊下を歩いて行く。
ニコニコと微笑んでから。