咲いても、枯れても1~サクラ色~




拓は本当に伝えたいことを、まっすぐに言わない。





裏返して、遠回りして、



そうしてやっと、本心に辿り着く。





私はその愛を、優しく受け止める。



そんな拓を可愛いと思う。


愛しい、と思う。







『私は絶対に大丈夫だけれど、拓がそう言ってくれるのなら、そうしてもらうわ』





気持ちのまま、笑う。



嬉しい気持ち、ありがとう、という気持ち、



拓に伝われば良いけれど。






『じゃあどうする?今から会うか、明日の朝にするか……』



『拓に任せるわ。私は今夜でも明日でも、拓の傍に居られるんだし』




焦らなくとも、大丈夫。







『そうだな。今日はもう寝て、明日にしよう。俺は少しだけ、父上に明日の話をしてくる』





それだけ言って、部屋を出て行ってしまった。




……静寂に包まれる。





よく考えると、気になることが一つある。




─────私の部屋は?





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