咲いても、枯れても1~サクラ色~



『よ、よよよ頼稜!!』




あら、拓も照れているの?


頼稜さん、時々突拍子もないことを言うから。



でも、そんな拓を可愛いと思ってしまう。




今すぐに、抱きつきたい。


けれど出来ないから、左手に触れている拓の服を、強く握る。




起きている、とバレないように。





頼稜さんは、「お顔が赤いですよ」と呟いて、扉をパタンと閉めた。





─────静寂。



どうしたら良いのか分からなくて、ただ瞼を閉じて黙る。




今更、実は起きてました、なんて出来ないし。





身体中に熱い視線を感じる。




そんなに、見つめられたら、呼吸が乱れてしまう。


寝たふり、だなんて、無理!!






そう思って、強く瞼を閉じていると、温かい熱が髪に触れた。


思わず、瞼を開いてしまいそうになる。





『さくら、可愛いよ』




もう、心臓が持たないわ。


ドキドキして、でも貴方に強く抱きしめてもらいたくて、もっと触れて欲しくて……。



< 166 / 279 >

この作品をシェア

pagetop