咲いても、枯れても1~サクラ色~
『よ、よよよ頼稜!!』
あら、拓も照れているの?
頼稜さん、時々突拍子もないことを言うから。
でも、そんな拓を可愛いと思ってしまう。
今すぐに、抱きつきたい。
けれど出来ないから、左手に触れている拓の服を、強く握る。
起きている、とバレないように。
頼稜さんは、「お顔が赤いですよ」と呟いて、扉をパタンと閉めた。
─────静寂。
どうしたら良いのか分からなくて、ただ瞼を閉じて黙る。
今更、実は起きてました、なんて出来ないし。
身体中に熱い視線を感じる。
そんなに、見つめられたら、呼吸が乱れてしまう。
寝たふり、だなんて、無理!!
そう思って、強く瞼を閉じていると、温かい熱が髪に触れた。
思わず、瞼を開いてしまいそうになる。
『さくら、可愛いよ』
もう、心臓が持たないわ。
ドキドキして、でも貴方に強く抱きしめてもらいたくて、もっと触れて欲しくて……。