咲いても、枯れても1~サクラ色~
『寝顔も、笑顔も、泣き顔も、怒った顔も、照れた顔も、全部全部俺のモノにしたい』
私、起きてるのよ。
でも、嬉しくてたまらなくなる。
『白純美の全てを欲しい』
拓の声色は、いつもみたいに儚げで柔らかかったけれど、それに加え、決意のようなものが感じられた。
必ず、そうする、と。
バカよね。
私、貴方の桜に成ったのに。
でも、ここまでくると、いつ起きれば良いか分からないわ。
私、演技下手だし。
その心配を、拓が無用にしてくれた。
『さくら、起きろ。もう朝だぞ』
何事も無かったような、平然とした声。
拓は、演技上手いのね。
そう思って、少し微笑んで、瞳に、やっぱり眩しい朝日と、拓の姿を映す。