咲いても、枯れても1~サクラ色~



『機嫌が悪いさくらも、見てみたいな。俺が機嫌直してみせる』


『何よ、それ。簡単には直らないわよ』



『さくらの機嫌なら、なんでも直せるはずだ』




自信満々に、訳の分からないことを言う。



寝起きは、どんなに秀才でも頭が働かないのかしら。




それでも、毎朝一番初めに、瞳に拓を映せるなんて、嬉しい。


それが、どれだけ幸せなんだろう、と。





『そうだ。父上たちには、午前中に会ってもらう予定。大丈夫か?』




ごめんなさい、さっき聞いてました。




『私はいつでも大丈夫よ』



少し不安はあるけれど、良い人と聞いているから、早く逢いたいという気持ちの方が強い。



御父様似なのかしら?


御母様似なのかしら?



そんなことを、少し考えていた。




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