咲いても、枯れても1~サクラ色~
『白純美、それ見間違えじゃないの?』
『え…?どういう─…』
『だってそんな白純美の理想の人なんているはずないもん』
確かにいたわよ!!そう言い返したかった。
でもなぜか出来なかった。
そうかもしれない。
見間違え、だったのかもしれない。
だってあんなに優しく笑って、
まるで桜のように儚く、
今にも消えてしまいそうに。
『ね?だからさ、とりあえず今は目の前にある出逢いを大事にしようよ。3人とも、楽しそうじゃん!!』
恵はそう言ってまた笑った。
あなたの狙いはただ一人。
そうでしょう?
なんて思って笑った。
『今日、だけだよ?』
『やったあーっ!!帰りめちゃくちゃ楽しみ!!』
そう、今日だけ。
私はまた会うから。あなたに。
あれは幻じゃない。
そう思わせてくれるのは、髪の熱。
あの人の綺麗な指で、触れられた髪。
今でも触れてみると、かすかに熱い気がする。
忘れない、あの笑顔。
「白純美ちゃん」
名前を呼んだ、あの声。
会えない。
それだけで切なくなる。
会いたい気持ちが、苦しい。
それでも尚、会いたいと思う。
例えあなたが忘れてても
私は忘れない。
忘れられないから。