咲いても、枯れても1~サクラ色~
そういえば、御両親の前でも、拓は照れるのね。
そんな拓を見て、やっぱり好きだと思う。
拓の中に、私はそういう存在で居られてるのかしら。
『ところで白純美さん、拓との件なんだが』
唐突に、話しかけられたから、一瞬身震いする。
先ほどとは違う、改まった声色とオーラ。
雅さんも微笑んではいるけれど、凛としていて、私と拓を見つめる瞳は、西条の母、だった。
─────西条の父母。
これが、本来の姿。
『私は、賛成だよ』
明仁さんは、何の迷いもないような、はっきりとした口調で言った。
その言葉に、胸が高鳴る。
拓の横顔も、軽く安堵した様子だった。
「白純美がどんな人なのか、見てからではないと、一概に“賛成”とは言えない」
そう、明仁さんが言っていたと、言っていたから。
内心、ほっとした。