咲いても、枯れても1~サクラ色~
『婚約したら、西条に来てもらうことになる。もちろん生活も共に過ごしてもらう。もしかしたら、今まで出来ていた事が、出来なくなるかもしれない』
明仁さんの言葉は、私にそれほどの決意があるかどうか、確かめるものだった。
今まで出来ていた事が、出来なくなる。
つまり、自由が利かなくなる、ということ。
それでも、拓を選ぶの?
答えは、決まっている。
『私は偶然、拓と出逢いました』
私は、瞳に明仁さんと雅さんを映した。
その前に、チラッと横を見たけれど、拓は不安そうにもせず、同じように二人を瞳に映していた。
不安なんて、微塵も悟られなかった。
堂々とした、頼れる姿を見て、私はもう一度安心した。