咲いても、枯れても1~サクラ色~
特別な存在
『恵ちゃん、白純美ちゃん!!』
私たちが校門の前で待っていると、佐々木くんたちが走って来た。
そばには、この学校で一番大きな桜の木がある。
思い出す、彼を。
『じゃあ、帰ろっか』
『うんっ』
佐々木くんと恵はもう良い感じだった。
おしゃべりな恵、聞き上手な佐々木くん、気が合うのかもしれない。
『白純美ちゃん』
佐々木くんと恵の後ろを、高橋くんと藤井くんと私で歩いている。
突然、高橋くんが話しかけてきた。
といっても私がぼっとしてたから、びっくりしただけかもしれない。
『な、何?』
『いや、白純美って呼んでもいい?』
高橋くんは私の顔を見て、にっこりと笑った。
呼び捨て、ってこと?
私にとって名前は特別。
だけど、「ちゃん」とか「さん」を付けて呼ばれるのと、呼び捨てだったら、特別感に差はない。