咲いても、枯れても1~サクラ色~
拓はドアノブに手を掛けて、立ち止まった。
しばらく、そのまま。
少し不安になって、拓の顔を覗き込む。
『どうしたの?拓───』
あ、と思った時には、両肩を掴まれ、唇も瞳も、拓の色に染まってしまった。
一瞬、周りが見えなくなってしまう程に、深いキス。
もう、拓しか見えなくなってしまう。
必死で、理性にしがみつく。
もう駄目、と思った時には唇が離れていた。
『例え父上でも、白純美は絶対に譲らない』
変に、ぼっとしてしまう。
そんなこと、心配しなくて良いのに。
でも、必死で私を繋いで置きたい気持ちが、とてつもなく嬉しいものだと気付く。
『拓、可愛い』
『バ、バカ!!からかうな!!』
顔、真っ赤よ?
そんな拓が、大好き。
明仁さんと雅さんに誓った約束は、嘘じゃないから。
この手は、一生離さない。