咲いても、枯れても1~サクラ色~
拓の部屋を出ると、栗色ちゃんが廊下で待機していた。
『あの、秀介くんのとこに行きたいんだけど』
傍まで行って、尋ねる。
すると栗色ちゃんはとても明るい笑顔で、返事をしてくれた。
『秀介様ですね?きっと今は…お庭にいらっしゃるはずです。ご案内いたします』
女の子っぽくて、可愛らしい声は栗色ちゃんにぴったりだった。
明るい笑顔は、黄色くて元気のある、けど可愛らしい、菜の花を連想させた。
この花言葉は知ってる。
菜の花。
─────活発。
まるで、栗色ちゃん。
『そういえば、あなたの名前を教えてくれない?』
いつまでも、栗色ちゃん、で通す訳にも行かないわ。
この子とも、仲良くなれそうだし。