咲いても、枯れても１～サクラ色～

『いいよ』


私が答えると、高橋くんは嬉しそうに笑った。



『じゃあ、俺のことも名字じゃなくて、「佑馬」って呼んでね？』


え、と思ったら、隣から突然、藤井くんが口を出した。



『佑馬、お前はこいつに気があんのかよ？』


藤井くんの「こいつ」の言い方は、なぜか妙に気に障る。

私はムッとしながら、藤井くんを睨んだ。



『ちょっと、何言ってんのよ』

『佑馬、コイツのどこがいいんだよ。いつ頭打ったんだよ』



私を完全に無視。

高橋くんは、そんな藤井くんの頭を優しく叩いた。



『大丈夫、安心しろ。お前の女は取らないから』



高橋くんが意地悪に笑うと、藤井くんはニコリともせずに高橋くんを睨んだ。


逆に私が動揺してしまった。



『なななな、何言って…っ』

『うっせえよ!!お前!!お前なんか眼中にねえよ!』



本当に、口悪い。

私だってあんたなんか、と言おうとして口をつぐんだ。


こんなヤツのペースに乗せられちゃ駄目。

私の目には、彼しか映らない。