咲いても、枯れても1~サクラ色~
けれど、秀くんは唐突な話に、少しびっくりしたようで、一瞬目を見張った。
『そんな、あだ名でなんか、呼ばれたことないよ……』
え?、と思う。
秀介くんで、秀くん。
とても有りがちなパターンじゃないの?!
その前に、「あだ名でなんか呼ばれたことない」の?
そんなことあるんだ。
けれど、少し思考を働かせる。
大富豪の息子。
軽々しくあだ名でなんて呼べないお方、なのかしら?
そんなの、寂しいと思うけど。
『秀くん、来てきて』
私は再び座り込んで、秀くんを呼び寄せる。
秀くんは意外にもすんなりと、私の元へと来てくれた。
……吐く言葉は素直じゃないけれど。