咲いても、枯れても1~サクラ色~
『海斗は素直じゃないな~。ま、とにかく名前で呼んで?仲良くなりたいからさ!!』
そうよ、仲良くなりたいから。
だから名前で呼ぶって言ったんだよね。
何考えてんだか、藤井くんは。
『わかった。佑馬くん』
私がさっきまでのムッとした顔を、笑顔に変えて佑馬くんに言った。
佑馬くんはまだ納得いかないみたいだったけど、柔らかく笑った。
『ねえ白純美。白純美って海斗みたいのはタイプじゃないの?』
何を言うのかと思ったら、佑馬くんはニヤニヤしている。
『私のタイプは藤井くんの真逆の人』
そう、真逆。
あんなギャーギャー言って、
人を馬鹿にして、
子供みたいな人は嫌。
友達ならまだしも、彼氏なんて…。
『じゃあ、どんな人がいいの?』
どんな人……?
すぐに浮かぶのは、彼。
桜吹雪の中に浮かぶ、彼。
思い出したら、苦しくなった。
会いたい、と思った。
いつまでも消えない記憶だけれど、早く会いたい。
気持ちを確かめたい。
切ないこの気持ちを。