咲いても、枯れても1~サクラ色~
お嬢様
『拓?』
『何』
『なんで?』
『何が』
私の目の前には、ベッドに身を隠して、ガラス戸の向こうに顔を向ける人がいる。
私の、愛しい人。
なぜだかさっきから、いや、かなり前から拗ねている。
その姿はまるで子供で。
呆れているのに、可愛いとか思ってしまう。
『いい加減、こっち向いてよ』
口を尖らせて怒ってみるけれど、やっぱり効果なし。
はあ、と大きなため息をつく。
『頼稜さ~ん…助けてよ』
頼稜さんは、さっきから扉の側に立って、私たちをニコニコと楽しそうに眺めてる。