咲いても、枯れても1~サクラ色~
『白純美様しか、どうにも出来ませんよ』
その極上の笑顔には、どうしても抗えない。
どっからどう見ても、拓と同い年だわ。
本当に、爽やかな美青年。
『ねえ、頼稜さんって──』
『白純美様、私はこれで失礼いたします。私に話しかける前に、拓様をどうにか』
私の問いを遮って、頼稜さんはスタスタと廊下を歩いて行った。
ちょ、ちょっと!!!!出来れば置いて行かないで欲しかった。
後ろを振り向くと、拓の瞳が私を映していた。
夜でも映える、拓の姿。
『ねえ、何を怒っているの?私が何かしたかしら?』
ようやくこちらを向いてくれた拓の傍まで、ゆっくり近付く。