咲いても、枯れても1~サクラ色~



けれど、時折どうしようもないくらい不安そうな顔を浮かべるから、私も心配になる。




貴方は堂々としてればいいのよ?と、心の中で呟く。





『さくら』




耳元で囁かれる。



その呼び名で、改めて目の前にいる大好きな人が“貴方”だと知る。




『俺だけのものに成って』




その声が、貴方らしくないくらい震えていて。



どうしようもない不安の色に、呑み込まれていた。





その不安を拭ってあげたいと、心の底から思う。



私の何かで。






『拓……』



『白純美』




その名を呼ばれる。



夢うつつだった瞳を、思い切り見張る。



< 218 / 279 >

この作品をシェア

pagetop