咲いても、枯れても1~サクラ色~



『……秘密』


『えっ!!なんで?!教えてよ~』


タイプもなにも、あの人しかいない。

何の手がかりもない、彼。



『言ったってわかんないもの』
『どういうこと?』



『だから、一目惚れした人』



そう言うしかない。

名前も、何もわからないから。


『白純美…っ、一目惚れって!!!!!!』


佑馬くんはひどく驚いた。


『どうせ、そんなのお前の片想いで終わるんだけどな』


ケラケラと馬鹿にするように笑う。

本当に腹が立つ、藤井くん。



『終わんないわよ』

『どうしてそんなこと言えるんだよ』

『それは─…』


悔しい。何も言えないから。

藤井くんは嘲笑う。



『ま、まあ…それは、昔の話だよね…?』


佑馬くんが動揺しつつ、聞いてくる。



『ううん。昨日の話』



佑馬くんは今度こそ倒れそうになる。

意外と、精神的に弱いのね。



『昨日、帰りに会ったのよ。
とっても優しくて、かっこ良くて…』


桜みたいな人。

儚くて、切ない。

夢だったんじゃないか、って思う。




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