咲いても、枯れても1~サクラ色~



恵には「旅行」と言ってあるけど、私の両親が多忙なのを知ってるはずだから、嘘だと見抜くでしょうね。



本当にごめんね、と思う。



きっと、佑馬くんとかうるさいと思うし。





『白純美様。今から行ってらしてはいかがですか?』



『こちらはお任せ下さい。お帰りになられる頃には、素晴らしいお部屋にしておきますよ』




鈴ちゃんと未菜ちゃんが、そう言ってくれるのに、抗えないし。



早い方が良いものね。




『そうしたいけれど……拓、いい?』




車の手配がどうとか、前に言ってたから。



こんな唐突に決めても大丈夫なのかしら。




『大丈夫だよ。さくらの家は平気か?突然押し掛けて』



『うん。誰も居ないはずだし。いつでも平気よ』




拓は私の言葉を聞くと、頼稜さんに「車の準備を」と静かに告げた。




< 228 / 279 >

この作品をシェア

pagetop