咲いても、枯れても1~サクラ色~
恵には「旅行」と言ってあるけど、私の両親が多忙なのを知ってるはずだから、嘘だと見抜くでしょうね。
本当にごめんね、と思う。
きっと、佑馬くんとかうるさいと思うし。
『白純美様。今から行ってらしてはいかがですか?』
『こちらはお任せ下さい。お帰りになられる頃には、素晴らしいお部屋にしておきますよ』
鈴ちゃんと未菜ちゃんが、そう言ってくれるのに、抗えないし。
早い方が良いものね。
『そうしたいけれど……拓、いい?』
車の手配がどうとか、前に言ってたから。
こんな唐突に決めても大丈夫なのかしら。
『大丈夫だよ。さくらの家は平気か?突然押し掛けて』
『うん。誰も居ないはずだし。いつでも平気よ』
拓は私の言葉を聞くと、頼稜さんに「車の準備を」と静かに告げた。