咲いても、枯れても1~サクラ色~
『しばらく、外で待とうか』
『ええ。そうしましょう。鈴ちゃん、未菜ちゃん、後はよろしくね』
二人はにっこりと微笑んで、「はい」と言った。
頼稜さんが来るまで、私たちは外にいることにした。
長い廊下を、拓に続いて歩く。
拓に相応しい女として、背筋をぴんと伸ばし、一歩一歩をしっかりと踏み出す。
時折、拓が私を振り向くけれどその度に柔らかく微笑む。
『兄さま』
不意にどこからか、声が掛かる。
その呼び名、その声は一人しか居ない。
『秀介。学校か?』
『只今、学校から帰りました。兄さまはどちらへ?』
そういえば秀くんは、灰色のブレザーを着ている。
その容姿にはぴったりだった。