咲いても、枯れても1~サクラ色~
『さくら?それって……』
『ええ。私の父と母よ。初めて旅行に行った時の写真なの』
最初で、最後。
私の声色を読み取ってか、拓はそれ以上に問いはしなかった。
拓の、そういうところも私の助けになってる。
確実に。
『会いたいな、さくらのご両親に。正式に願いたい』
何を?、と聞かずとも分かる。
拓の顔に、少し不安が滲む。
よく見なくては分からない程だけれど。
『大丈夫よ。私は必ずあなたの元に───』
語尾を遮る、甘いキス。
不安にならなくとも、心配することなど、必要ないのに。