咲いても、枯れても1~サクラ色~



『ほら、お前おせえんだよ!!』


私に文句ばっかり言う藤井くん。

改札通るときに切符を通すのが遅いとか、ぼーっとしながら歩くなとか、もっと早く歩けとか…

本当にうるさい。


どれだけ私を嫌いなの?気に障るの?とか思いながらも、文句は口に出さず、ただ付いていった。



『…い。おいっ!!!』



ハッとすると藤井くんが私を睨んでいた。


『な、なによ』


『だからなあ~…』



藤井くんはため息をついてから私を見た。


『佑馬たちトイレ行ったけど、お前は?』


『あ…ごめん。私は平気』



周りを見渡すと、私と藤井くんは二人きりだ、と気付いた。


不意に藤井くんを見ると、目が合ってしまった。

藤井くんはずっと私を見ていたから。



『どうしたの?』



目を離せない、口から出た言葉はこんなことだった。


藤井くんは呆れた様子で口を開いた。



『お前ってさ─…、どうしてそんなにぼっとしてんの?』


『そんなの、わかんないよ』


ぼっとしたくてしてるつもりじゃないし。



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