咲いても、枯れても1~サクラ色~
『そうなのね。鈴ちゃんだったら…秀くんとかは?』
深く考えずに、浮かんだ名を落とす。
あの、銀の美青年の名を。
『しゅ、秀介様ですか?!秀介様は……私共などには、お心を開いてはくれませんよ』
確かに、と思う。
あの笑顔はなかなか見えない。
ケラケラと、心底笑ってくれるなんて、滅多に。
恐らく、秀くんが最も慕っているのは拓。
あまり接せない鈴ちゃんたち、メイドさんにとっては、恋なんぞ出来ない存在なのかもしれない。
『それに……』
『それに?』
『拓様や秀介様のような身分のお高い方などに、メイドは恋をしてはなりません。それは、絶対的』
口調が、強くなった。
本当にいけないことだと知る。
西条に仕える者が、西条の者に恋をする。
それは、禁断なのだと。